代々木アニメーション学院(以下、代アニ)の評判について語るときに、必ず議題にあがってくるのは、代アニが日本の法令に基づいた教育施設ではない、いわゆる無認可校であると言う点です。
その知名度の高さから、しばしば代アニを「アニメーションの専門学校」と呼んでいる方もいますが、無認可校は専門学校を名乗ってはならない為、あくまで「アニメーション学院」が正しい名称です。
さて、このような名称の使い分けの他にも、代アニが無認可校であるが故のメリットやデメリットがいくつかあります。
【学校教育法上の設置基準に関するもの】
- 授業時間・・・必要なカリキュラムを最低限必要な時間だけ受けられる
- 教育施設・・・生徒が通いやすい立地に柔軟に開校することができる
【学費に関するもの】
- 奨学金・・・日本学生支援機構(JASSO)の支援を受けられない
- 教育ローン・・・日本政策金融公庫は通常は無認可校に融資されない(代アニは受けられる)
【学生の支援や補助に関するもの】
- 通学定期券・・・一般定期券しか購入できない
- 学割・・・学生割引制度を採用している映画館や博物館、美術館などでも一般料金となる
【卒業後に関するもの】
- 就職支援・・・企業と学生の間に介入して求人を紹介などすることができない
- 4年制大学への編入・・・編入資格が得られない
- 学歴・・・学歴として認められない
以上のように無認可校であることで代アニ生が不便を感じる部分はありますが、逆に無認可校であることによって、その恩恵を受けられている面も多分にあります。
以下、詳しく解説していきます。
※かつて代々木アニメーション学院代表取締役兼学院長の橋本大輝氏は「自校は学校法人ではなく株式会社である」と述べ、人材を生み続ける3つの要素について説明しておられました。
代アニは無認可校で学歴にも書けないのに入学するメリットはあるか?
無認可校であること、それ自体がデメリットになるわけではありませんが、入学する目的の障害になりそうなら、何か対策を練らねばなりません。
- 「学費が苦しいのに奨学金が利用できない」・・・新聞奨学生や教育ローンを利用する
- 「学歴が高卒のままになるのは嫌だ」・・・Wスクールまたは他学校を卒業後に入学する
色々と考えられることは多そうです。
学校教育法上の設置基準に関するもの
※以下は、文部科学省「専修学校の設置認可基準(概要)」を参考にしています。
授業時間
学校教育法に基づいた認可校の場合、卒業所要授業時間は昼間学科で年間800時間以上、 夜間学科は年間450時間以上、修業年限は1年以上必要とされています。
この点において代アニは無認可校ですので、法的に縛られることなく独自で柔軟なカリキュラムを組むことが可能です。
毎年、代アニのカリキュラムはよく改変されますが、基本的に授業時間は午前の部と午後の部に分かれており、学科によっても異なりますが、全日制はこれを週3~週4で2年間通うことになります(※高等部は3年間)。
開校当初は、代アニは今のように2年制ではなく1年制で学費も今よりはだいぶ安かったです。
教育施設
認可校の校舎には目的、生徒数又は課程に応じ、教室(講義室、演習室、実習室等とする。)、教員室、事務室その他必要な附帯施設を備えなければならない等
引用元:専修学校の設置認可基準(概要)昭和51年文部省令第2号
つまり、認可校の土地や校舎は学校自身の持ち物でなければならないということです。
代アニはこの点においても縛られることはありませんから、例えば生徒が通いやすいように駅に近いテナントを借りて開校するのも自由です。
実際に、札幌校の「ノルベサ」や金沢校の「BELSEL」といった大型商業施設のフロアで開校している拠点もあります。
代アニ運営側が受けとるメリットが多いのですが、ここで抑えられたコストが新しい学科や施設の運用に回され、結局は代アニ生に還元されていると考えることもできます。
学費に関するもの
奨学金
学生が利用する無担保あるいは低金利の奨学金は日本学生支援機構(JASSO)しかないと言うくらい、有名ですが、無認可校である代アニはこれを利用することができません。
これは、決して学費が安いとは言えない代アニに入学する者にとってはかなりのデメリットだと言えます。
そこで、代アニは独自の学費サポートをいくつか設けています。
◆代アニの学費サポートについて詳しくは別記事で解説しています
教育ローン
国の教育ローンである「日本政策金融公庫」は、無認可校が融資対象とならないことも多いのですが、代アニはこれを利用できます。
無論、利用を希望する者は審査に合格しなければなりませんが、代アニが無認可校だから融資を断られるということはなさそうです。
教育ローンはその他にも、代アニが提携している銀行の教育ローンもあります。
学生の支援や補助に関するもの
通学定期券
代アニ生は通学定期券を購入できない為、電車で通学する場合は一般定期券で通うことになります。
これに対して、代アニは遠方から通ってくる生徒なども想定し「学院指定食事付き学生寮」をはじめ様々な物件を紹介する住居サポートを行っています。
できるだけ、学生寮や学生マンションを利用して通学の負担を減らしてほしいという主旨でしょう。
ちなみに、遠方から体験入学に来る入学希望者(入学を既に決めている者)に対しては、交通費を出してくれるキャンペーンを定期的に行っています。
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学割
交通運賃の他にも、美術館や博物館などの施設利用料から携帯電話の「期間限定学生割」に至るまで、無認可校の生徒は学割を利用できないことが多いです。
代アニ生の中でも映画館など頻繁に利用する方にとっては、このデメリットを強く感じるかもしれません。
ただし、一部の学割には年齢制限があることもあります。特にスマホ学割関係は年齢制限が設けられていることが多いです。代アニ生の年齢層は様々で、社会人や夜間の方もいるので、あまり気にしないと言う方もいます。
卒業後に関するもの
就職支援
認可校は厚生労働省から「無料職業紹介所」として認められていますが、無認可校はこれがないため、例えばハローワークなど国の機関と連携して学生をサポートすることもできません。
ただ代アニの場合、これらを必要とするかと言えば議論が分かれるところではあります。
学科にもよりますが、代アニ生はあくまでデビューが目的ですので、一般的な就職活動よりもオーディションやコンテストに合格するためのサポートが必要になります。
約40年その土台を築き上げてきた自負があるでしょうし、実際、業界やプロダクションなど各方面との繋がりは強固です。
代アニがどのような企業やプロダクションと繋がりを持っているか知りたければ、招かれている講師がどういった関係の方であるかを調べればわかります。
4年制大学への編入
2023年3月実績を見ると、代アニ生の約6%が大学に進学しています(※東京校高等部の場合)。
代アニ高等部は代アニで学びながら高校卒業資格が得られるので、そのまま大学を目指す生徒も当然いるわけです。
もちろん高等部でなくても、代アニを卒業してから大学入試に合格して大学1年生になる方はいます。
しかし、これが認可校なら「修業年限2年以上、総授業時数が1700時間以上」を満たしていれば、編入学試験を受けることができるのです。
代アニは無認可校ですので、卒業しても編入学試験の資格が得られない為、一般入試を受験するしかありません
◆高等部について詳しくは別記事で解説しています
学歴
2年制の認可校で卒業すれば「短大卒」と同様と見なされ専門士の称号が得られますが、これが無認可校だと学歴とは見なされず、履歴書にも記載することができません。
この点を代アニが無認可校であるが故の最大のデメリットだと感じる人が多いようです。
どんなに中身の濃い有益な授業を2年間頑張って通い続けても学歴として残せないことは、この先あらゆる場面において書類上は自分の適性としてアピールも証明もできないということになります。
具体的には学歴が「高卒」になってしまうことに抵抗を感じる人が多いのです。それでも良いと覚悟して入学する人もいれば、Wスクールや大学を卒業してから週一コースなどに入学する人もいます。
まとめ
- 認可校と比べると無認可校は不安な面が多いように感じる
- 法的に縛られないことは無認可校の大きなメリット
- 代アニが無認可校であることによる最大のデメリットは学歴にならないこと
- 声優や漫画家にデビューできれば学歴は関係ないと言う人もいるが、やはりうまくいかなかった時のことを考えると学歴が高卒のままなのは心配
※代々木アニメーション学院が無認可校であることのメリットとデメリットを、当サイトのように代アニ自身が赤裸々に説明することはありません。2024年入学案内を是非ご一読下さい。
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