「アニメや漫画に携わりたい」もしくは「声優になりたい」と考える人の多くが、専門知識を学ぶための学校としてまず検討してみるのが、代々木アニメーション学院(以下、代アニ)です。
近年、新たな学科開設や人気アイドルのプロデュースなどを手掛けてからは、その名がますます知れ渡るようになりました。
しかし、そんな代アニに興味を抱いて入学を検討していたものの、情報を集めるうちに迷いが生じ、決断できなくなってしまう人が中にはいます。
その原因の多くは、代アニに関する悪い評判や口コミをネットで見つけるからです。
そこに書かれている内容の真偽は別として、なぜこのような悪い評判が書かれているのでしょうか。
率直に言うと、これまで代アニが歩んできた40年以上の歴史の中で起きた過去の事件や出来事のイメージが未だに払拭されていないからです。
ですが現在は、当時の経営陣はとっくに刷新され、昔の経営方針も大きく変わりました。
この記事では、代アニの悪い評判や口コミが多い原因となっている過去の出来事、その他の原因について詳しく解説します。
- 代アニに入学したいと考えている人
- 代アニの評判・口コミが気になっている人
- 代アニに入学して後悔したくない人
なぜ代々木アニメーション学院は悪い評判やひどい口コミが多いのか?
- 代アニの過去のイメージ
- 声優・アニメ業界特有のイメージ
代アニの過去のイメージ
未だ完全には払拭できていない代アニの負のイメージは、要約すれば2004年以降に表面化し始めた業績低迷と資金繰りの悪化がその根底にあります。

2004年11月には、東京国税局により所有不動産が差し押さえられています。
不動産差し押さえを皮切りに、代アニの業績低迷が次第に明るみになっていきましたが、それに伴う苦しい資金繰りを背景に、お金に関する問題が立て続けに発生していきます。
入学金返還問題(2006年5月)
代アニは2004年4月から05年1月にかけ、募集要項などで「入学辞退者には学費を返還」などと表示していました。
しかし、実際に辞退した場合、キャンセル料などの名目で納付された学費のうちから22万円を返還していなかったのです。
この点について公正取引委員会は、表示法違反(有利誤認)に当たるとして、再発防止などを求める排除命令を出しました。

排除命令とは、消費者が誤解するような 不当表示 などをした業者に、その行為の撤回、再発の防止を命じる行政処分のことです。
◆代アニの【入学金・学費返還制度】問題については別記事で詳しく解説しています。
民事再生法適用(2006年12月)
不動産の差し押さえ、公取委からの排除命令を経て、代アニはますます資金繰りが悪化する中、とうとう民事再生法の適用を東京地裁に申請しました。
1978年に設立され、1998年4月期には売上高約77億円を計上していた代アニでしたが、2005年4月期の売上高は約50億円にまで減少していました。
民事再生を申し立てた際の負債総額は約22億円です。

民事再生は、倒産状態にある会社が再建を図るためにとる手続です。
学費振り込み詐欺事件(2006年12月)
来年度入学予定者に向けて「入学金振込先」を指定した文書が突然送られてきました。
内容は「学校法人大矢学園」に振り込めというもので、同学園の振込先が明記され、当時、代アニの学院長だった落語家の三遊亭楽太郎氏(後の三遊亭円楽)の名と印章が押されていました。
しかし、当の三遊亭楽太郎氏は全くあずかり知らぬことで、直後に「学費振込詐欺に対する楽太郎学院長の撤回文」が代アニHP上に掲載されました。
引用元:livedoornews(代々木アニメーション学院東京本部校 学院長撤回文)
◆事の真相
経営破綻の発端となった代アニ創立者の大矢氏とその経営陣が、経営から退いた後も学費などの金銭徴収の権利を主張した行動だったと言われています。
大矢氏の行為は再建を図る新経営陣にしてみれば「詐欺」行為以外のなにものでもありませんでした。
入学希望者の被害は出ていないとされていますが、放漫経営で民事再生中となった代アニは、この事件でさらに社会的信用を失墜させてしまったのです。
- 1978年 設立
- 1998年 4月期売上げ約77億円を計上
- 2004年11月 東京国税局による不動産差し押さえ
- 2006年4月 三遊亭楽太郎氏が学院長に就任
- 2006年5月 入学金返還問題で公正取引委員会による排除命令
- 2006年10月 創立者大矢敏行氏が退陣
- 2006年12月 民事再生法の適用申請
- 2006年12月 学費振り込み詐欺事件
- 2015年 代アニLIVEステーション無断キャンセル事件
- 2015年 卒業生との報酬トラブル
代アニLIVEステーション無断キャンセル事件
学費振り込み詐欺事件から、数年経った2015年に代アニLIVEステーションで大きく話題となった事件が発生しました。
前もってライブ会場の予約をしていたアイドルを無断でキャンセルして、他のアーティストを入れたというもので、その真偽よりもむしろ、その後の代アニ側の対応の悪さが批判を浴びました。
◆この事件は「代アニ ひどい」というワードで最も炎上しました
卒業生とのトラブル
代アニ卒業生でもある漫画家の松山せいじ先生との間で報酬をめぐるトラブルが発生しました。
松山氏の主張によると、2008年に代アニから依頼されたイラスト仕事のギャラが不払いだったので、2014年あたりに問い合わせたが、数か月間きちんとした返答がなく、その後のやりとりでも深く信頼関係を損なったとツイートしています。
ただし、この件に関しては、代アニだけが一方的に批判されるものではありませんでした。
現在の代アニはどう変わったか
代アニは民事再生法適用後、放漫経営によって業績を悪化させていた旧経営陣および「学校法人大矢学園」との関係を完全に解消しました。
- 広告費の大幅な削減
- 学科・コースの新設や他校との差別化
- 授業料・学費免除制度の導入と改善
- ライブハウス「代アニLIVEステーション」運営開始
- 天王洲 銀河劇場の運営開始
- 秋元康が名誉学院長兼総合プロデューサーに就任
- 指原莉乃共同プロデュースアイドル「イコラブ」「ノイミー」のデビュー
※現在の代アニがどう変わったか、その詳細は入学案内の冒頭「代アニを選ぶべき6つの理由」に具体的な数字と共に記されています。特に6項目目の「学費の免除」に関する説明は昔の事件と照らし合わせ、信じるに足るかじっくり吟味してみると良いでしょう。

正直、昔から変わらない風潮を批判されることもあり、まだ盤石とは言えないまでも、明らかに業績や経営方針は改善されてきています。ネット上の悪い評判や口コミは「昔の代アニに戻ってはならない」という警鐘を鳴らす意味では妥当かもしれません。
声優・アニメ業界特有のイメージ
これまでは、形成された代アニのイメージが過去に実際に起こった出来事が元になっているという話をしてきました。
しかし、ここからは代アニとは直接関係ないのに「声優・アニメの専門学校」ということで、自然と結び付けられてしまったイメージについてご説明します。
◆代アニと直接の関係はないのにイメージを悪くしたひどい事件が過去にいくつかあります
講師や学校の対応
声優学校の講師はお気に入りの生徒には優しく、そうでない者には厳しく、何かこちらの要望を伝えたくとも学校側は知らん顔、そんな口コミもよく見られます。
ただこういった特定の講師、学校に対する口コミは多分に主観的でもあるということは把握しておくべきでしょう。
言うまでもなく、講師も学校もひとつではありませんし相手に対する感じ方も人それぞれです。
また、声優の学校に限った話でもありません。
セクハラ・パワハラ
声優の闇と言えば、昔からこの「セクハラ」「パワハラ」の話は避けては通れません。
今はだいぶ減ったという話も聞かれますが、声優志望の女性に枕営業を強要し逮捕者が出たというニュースはいつの時代でも少なからず上がってきます。
だからと言って、声優学校の大手だと「セクハラ」「パワハラ」が横行していると考えるのはあまりにも安易です。
◆代アニの声優タレント科でセクハラが心配される理由は別記事で解説しています。
学費と就職先
「高いお金を支払う割にろくな就職もできない」という口コミもよくあります。
声優やアニメで成功してきちんと食べていけるのは、ほんの一握りと言われる業界ですから、ある意味、的を射たコメントなのでしょう。
この点がかつての放漫経営とよく結び付けられてしまう所以でもあるのですが、元来競争が激しいアニメ業界に飛び込むわけですから、お金をかけて学んでも必ずしも成功できるとは限りません。
「高い授業料とってるのだから就職まで世話しろ」と言いたい気持ちはわかるのですが、最初から成功できるかどうかは自分次第という厳しい世界に飛び込む覚悟は必要です。
◆かつての代アニは【就職率100%】を謳っており、これが問題となりました
無認可校
声優学校の中には専門学校としての認可を受けていない、いわゆる無認可校も多く、代アニは無認可校として有名です。
一見すると、無認可校はまるで学校のふりをしているようで悪い印象を持ってしまう人も多いようですが、入学対象者や授業カリキュラムを柔軟に決めることができるといったメリットも多いのです。
特に声優学校の生徒は年齢層も幅広く、人それぞれ都合が付けやすい時間帯が限られるため、無認可でいた方が良い側面も多分にあるのです。
◆代アニが無認可校であることのメリットとデメリットは別記事で詳しく解説しています
まとめ
- 代アニの悪い評判と口コミが目立つのは昔のイメージが払拭されていないから
- 負のイメージの発生源は、過去の代アニの出来事と声優業界特有の先入観の2つがある
- 現在の代アニの実態は刷新されているが悪いイメージだけが残ってしまっている状態

今の代アニの評判や口コミは、実態から乖離している部分も多分にあります。
しかし「昔から変わっていない」と、しばしば批判の声が上がるのも事実です。
秋元康氏などの著名人を招いてイメージの刷新を図ってはいるものの、常に厳しい目が向けられるのは声優・アニメ業界の宿命とも言えます。
※実際に代アニに通っている20名の生徒の全体写真と共に「代アニのいいトコ」など23の質問の答えとコメントが入学案内(2022年4月度版)に載っています。これら「生の声」が果たして信用に足るか、つくられたものであるかは、どうかご自分で判断してみて下さい
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