代々木アニメーション学院(以下、代アニ)と聞くと「プロの声優を育てる専門学校」というイメージがあります。
しかし、まだ学校名も異なっていた1978年に初めて東京校で開講したのは、アニメーター、マンガ科でした。
つまり、代アニの長い歴史の中で、最も蓄積されたノウハウを誇る学科がアニメーター科だと言えるのです。
ただ、これはアニメーター科に限ったことではありませんが、ネット上では代アニの悪い評判やひどい口コミが目立ちます。
過去に起こったいくつかの事件から生じたイメージで、批判され続けるのも仕方ない部分はありますが、こういった負のイメージと現在の教育実績は別に考えねばなりません。
特にアニメーター科は、その生徒作品を見ればわかる通り、素人目から見てもクオリティは決して悪くありません。
それでも誰からともなく「代アニ生は使えない」と言う声が聞こえてくるのは何故なのでしょうか。
実は、代アニ生にはアニメーターとしての才能と実力は伴っているのにそれを発揮できない現実があるからなのです。
以下、詳しく解説していきます。
- 代アニのアニメーター科入学を考えている
- アニメーター科の評判の実態を知りたい
- アニメーター科の卒業後が知りたい
アニメーター科は代アニの10校舎全てに設置されている学科です(2023年予定)。
※代々木アニメーション学院アニメーター科については「鬼滅の刃」「僕のヒーローアカデミア」といった有名作品で要職を担う卒業生や就職実績について2023年入学案内「アニメ学部 アニメーター科」に詳しく掲載されています。
<アニメーター科の学費>
<1年次>
- 【入学金】200,000円
- 【年間授業料】693,000円
- 【施設設備費】429,000円
- 【教育充実費】220,000円
- 【教材費】55,000円
【学費合計】1,597,000円
<2年次>
- 【年間授業料】693,000円
- 【施設設備費】429,000円
- 【教育充実費】220,000円
- 【教材費】33,000円
【学費合計】1,375,000円
◆学費と学費サポートについては別記事で詳しく解説しています。
代アニのアニメーター科の評判 ひどい口コミに反してレベルが高い?
【アニメーター科】本日は顔の向きなどを中心に練習しておりました✏️✨とても大切な基礎になるので頑張ってマスターしてね☺️💕#YOANI #代アニ pic.twitter.com/oJBq0eXg9o
— 代々木アニメーション学院金沢校 (@yag_kanazawa) September 10, 2020
「鬼滅の刃」「魔法少女まどか☆マギカ」「僕のヒーローアカデミア(第4期)」など、そうそうたるアニメ作品で活躍の実績がある代アニのアニメーター科ですが、率直に言うと、こういった成功を掴めるのはほんの一握りです。
残念ながら学んだことを活かす機会がないまま挫折してしまう方もおられます。
- 納期厳守の現実
- アナログとデジタル
- 描きたいことが描けない
納期厳守の現実
在学中は、液晶タブレットを使って丁寧に時間をかけて描いていたものが、アニメ制作会社に就職して実際に描き始めると、何より早さを求められることにまず衝撃を受けると言います。
特に下請けで作画を担当しているような会社は、期日までに仕上げることが絶対条件ですので、いかに高いクオリティを保ったまま早い作業ができるかが要求されてくるのです。
たとえ代アニ生に高い作画能力があったとしても、はじめから短時間で何枚も描き続ける作業には慣れていません。
在学中は幾分融通が利いていた作業時間が実際の現場では厳しいため、最初にこの点で躓く方も多いのです。
アナログとデジタル
【アニメーター科1年】
最近のアニメ業界はデジタル化が進んでおり、
代アニでも液タブを使ってアニメーション制作をしていますよ~!🙌
本日は学生が作成したキャラクターデザインを公開!
アニメの設定は全身がわかる三面図や表情集を作ることが基本です…!✏️✨#代アニ #YOANI #アニメ科 pic.twitter.com/IOdJeWqFMB— 代々木アニメーション学院大阪校/なんば校 (@YAG_osaka) October 2, 2020
アニメ制作のデジタル化が進んでいるとはいえ、まだまだ紙と鉛筆で描いている制作現場は数多くあります。
代アニのアニメーター科では一人一台のタブレットが貸し出されており、カリキュラムも普段の練習もデジタルが中心です。
時代の流れに沿った当然の流れだと言えますが、図らずもここにいくつかの弊害が生まれます。
例えば、何年も紙と鉛筆だけを使ってきたベテランアニメーターが多い制作会社では、作画用紙の種類や鉛筆の硬さ、定規に至るまで細かいこだわりがあります。
クロッキー(鉛筆の速写画)などで鉛筆は使用するものの、主にタブレット作画で慣れてきた代アニ生が、いきなりアナログの専門知識を要求されても無理な話で、あげく「使えないな」と言われてしまうわけです。
描きたいことが描けない
人それぞれ得意な画風があり、在学中は自分に合った好きな画を描いてスキルアップを図っていくこともできました。
しかし、卒業後は当然制作会社が受注した仕事をしなければならず、フリーランスでない限りはその作品の世界観を壊さぬよう、時には自分の画風を曲げて作業もしなければなりません。
これを良しとせず「望んでいた世界とは違う」と言って辞めてしまう方も多いのです。
代アニのアニメーター科で後悔しないために
「代アニ生は使えない」などという悪い評判が生まれる原因を踏まえると、その解決策は以下の3点に集約されます。
- 在学中から作業スピードを意識する
- タブレット(デジタル)だけに頼らない
- 企業説明会・ツアーに積極的に参加する
在学中から作業スピードを意識する
#YOANI祭り 福岡校舎でのすべての演目が終了いたしました! アニメーター科1年生の作品コンテストでは1位を獲得! 投票いただきましたみなさん、ありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ
このあと18時30分からは #博多市民センター で #YOANI舞台公演 が行われます pic.twitter.com/PTwbgSo035— 代々木アニメーション学院 福岡校 (@YAG_fukuoka) December 17, 2016
描くスピードを上げるには、日頃から意識することが大事ですが、納期が決められている作業に慣れておくことも重要です。
エンタメ学部のようにオーデイションというものがないアニメーター科の生徒は、納期に慣れるために学内で開催される作品コンテストに積極的に参加することをお勧めします。
タブレット(デジタル)だけに頼らない
【オープンキャンパス開催中】
描画系学科は、こんな事やってます♪
アニメーター科…ポートフォリオ制作
クロッキーや作品模写等、会社就職用作品作成中!マンガ科…キャラクターコンテスト
全校マンガ科学生で競うコンテスト用作品作成中!イラスト科…表情の描き分け
喜怒哀驚の表情を勉強中! pic.twitter.com/PLcDO5lbzl— 代々木アニメーション学院 広島校 (@yag_hiroshima) May 11, 2019
アニメーター科のカリキュラム自体が必ずしもタブレットしか使わないというわけではありませんが、紙と鉛筆にも慣れておく必要はあります。
就職する会社によっては、デジタルが主流でも独自のツールを使っていたり、アナログで描ける人を重宝したりする所もあります。
企業説明会・ツアーに積極的に参加する
☆アニメーター科☆
先日ガッチャマンやヤッターマンを製作している『タツノコプロ』様が代アニ に企業説明会を開きお越しいただきました。在校生は、作品ファイルなどのチェックをしていただき就活真っ最中です!説明会の後はスーツで授業でした!#代アニ #YOANI #アニメーター pic.twitter.com/QvrdWGIc9F— 代々木アニメーション学院 東京校/池袋校 (@YAG_yoyogi) June 10, 2018
自分の得意とする画や、描きたいものに近い制作会社に就職するために、企業説明会には積極的に参加するべきです。
もともと、代アニは求人票の数やインターンを受け入れてくれる会社は比較的多いです。
その他、アニメ制作会社の見学会や、地方の学生のための就職ツアーがあることも有名です。
就職ツアーって?
アニメ会社は関東圏に多くあります。地方の学生が就職活動のために何度も東京に来ていては交通費もばかになりません。そこで学生が就職を希望する会社と学校が相談し、指定した日時で数社の会社を受験することができるシステムです。引用元:代々木アニメーション学院公式HP
◆全くの未経験者は週一コース【アニメベーシック】から始める方も多いようです。
まとめ
- アニメーター科出身の代アニ生の実力は決して低くないが、それが認められにくい現実がある
- 主に、作業スピード・アナログの現場・世界観が違うことが主な原因としてよく聞かれる
- 後悔しないためには在学中から意識と行動が必要
アニメーターの仕事自体がもともと根気のいる作業です。理想と現実のギャップはどこにでもあるので、結局は「すぐに諦めないこと」が大事です。
※ワコムのペンタブレット「mobilestudio pro」をはじめ、代々木アニメーション学院アニメーター科の生徒が使用している機器や学習環境については入学案内「代アニを選ぶべき6つの理由」の中でも紹介されています。
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